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本棚を見ると? 2

さて、この妖怪メダル、ホログラム箔が押してあるものをレアメダルなどというそうで、子供たちがこぞって欲しがるとのことです。レジェンドといわれるレア中のレアメダルともなると、100人中100人の子供が、爺さまが普段、大事そうに磨きをかけている人間国宝の壺ですらあっさりと交換することをためらわない?ほどのもののようです。

先日、とある箔のメーカーさんが来て、オンデマンドの箔押し機というものを紹介してくれました。版が要らずにバリアブルに箔押しができるという、なかなかびっくりのすごいもの
です。しかしながら、その箔押し機をどこにどのように提案して売り込めば良いのか、という悩みがあるそうです。

箔メーカーさんには、妖怪メダルにホログラム箔を使うと大人気になるなどということは想像すらつきません。ましてやバリアブルともなると、個々の異なるニーズに応えることとなるので、もはや1社のメーカーの手におえるものではありません。答えを知っているのは市場だけでしょう。

話を本棚に戻しましょう。私の本棚には何もコロコロばかりがコロコロしているわけではありません(苦笑)。他にも世界で初めてつくったPURの無線上製本(丸背)とか、丸背のフランス装などというものもあります。

これらの本は、この先おそらく、造本史に記されることもなければ、神保町の古書店や研究者の方々から評価を受けることもないものでしょう。

でも、私にとっては保存しておかずにはいられない、どれもかけがえのない本ばかりです。それらは、私たちが開発に成功した、日本が世界に誇れる製本技術の証であり、私にとっては何よりも、共に働く仲間たちとともに苦労してつくりあげた “レジェンドメダル” ならぬ “レジェンドブック” の数々。時にそれらをじっと眺め、「製本人ってまんざらでもない」って思ったりもします。

(終)

加藤隆之

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